自宅の庭と駐車場の間の段差に石垣を設けることにしました。
しかも素人の私がDIYでコツコツと。
このシリーズでは石積みの種類の違いや道具、テクニック、完成までの作業工程などについて、全5回にわたりテーマや工程ごとに分けて、紹介していきたいと思います。
今後の石積みシリーズは以下のとおり。
- 【石積みDIY①】木曽石を積んで植栽が生きる庭をつくる
- 【石積みDIY②】石積みに必要な道具の準備
- 【石積みDIY③】木曽石が購入できる場所は?
- 【石積みDIY④】積み方(床堀り作業)
- 【石積みDIY⑤】積み方(空積み作業)
今回は初回編で「石積みとは」「なぜ空積みにしたのか」「木曽石を選んだ理由」についてご説明します。
石積みとは

石積みとは石を積んで壁を作る技術のことで、お城の城壁などが有名ですよね。
もちろん職人が経験を重ねて仕上げる特別な技術であるのは間違いないのですが、じつは意外と身近なもので昔は傾斜のある農地の擁壁などに使われていた農業技術の一つで、農家さんの間でも受け継がれていた一般的な技術だったそうです。
しかしコンクリートが普及し手間暇をかけずに壁が作れるようになるにつれ、作り方の伝承も途絶えていってしまったみたいです。
さてこの石積み、積み方は大きく二つの工法に分かれます。
モルタルなどの接着剤を使用して石を固定しながら積む方法を「練積み」、固定材を一切使わず石だけで積む方法を「空積み」といいます。
今回私の庭で採用したのは石だけで積む「空積み」です。
石積み(空石積み)のメリット

- 石以外の材料が必要ない
- 通気排水性が良い
- 見た目が美しい
石以外の材料が必要ない
私が空積みを採用した理由は3つあります。
一つは石以外の材料を使わないため作業が単純だということ。
練積みと違い接着剤となるモルタルを使用しないため用意する材料や道具が少なくて済みます。
また、モルタルを使用して固定すると積み直しができないため、初心者の私には技術力不足のようにも感じたのも大きかったです。
その点、空積みは石の配置が気に入らなかったら崩して積み直すことが容易なうえ、モルタルを用意しなくて済むので経済的。
ゆっくり少しずつ修練していくにはちょうど良い工法でした。
通気排水性が良い
二つ目は、通気性と排水性の問題。
これには我が家の立地が関係しています。
田んぼに近い低地で、土地の裏に丘になった森を抱える我が家の庭は、地下水位が高いという特徴があります。
雨が降ると森で蓄えられた水分が地下を伝わり低い方へと流れていきます。
土壌が深い丘のような土地では雨水も地中深く浸透していくのですが、我が家は地下水位が高い低地のため地上に近い位置を多くの水分が移動しており、雨天後には一段低い土地の前の通り道に水が滲み出ていることがよくあります。
このような立地のため、庭の土は湿りがちなことが多く、植栽の成長にも大きな影響を与えていました。
私が越してきてからは、通気穴を開けたり溝を掘ってみたりと、通排水のテコ入れをしたおかげでだいぶ土の雰囲気は変わってきましたが、今回の石積みはこの通排水を更に良くするという意味が大きいです。
見た目が美しい
そして最後は見た目。
やはり石が積んであるだけで庭は映えます。
それが天然の石であれば尚更。
最近はドライガーデンやワイルドガーデンと呼ばれる南国や乾燥地の風合いを模した庭の需要が高いようで、関東の方ではミカモ石という黄色味を帯びたゴツゴツで表面ツルっとした天然石を選んで庭にレイアウトするケースが多いようです。
個人的には落ち着いた雰囲気にしたかったので、我が家では木曽石(きそいし)と呼ばれる天然石を使って石積みを造りました。
木曽石は岐阜県中津川市付近で採掘される花崗岩の一種なのですが、表面の凸凹は多孔質で見た目はマット。
木曽石は雑木の庭や日本庭園でもよく使われる石で、その多孔質の形状ゆえ植物の相性が良いのも特徴です。
長く庭に居ることで苔や植物が覆い自然な雰囲気を醸し出してくれることを期待しています。
作業工程について
- 準備(道具と石)
- 積み方
準備

効率よく作業を進めるために準備を整えておきます。
必要となるのは「道具」と「材料」と「設計図」。
私が使用した道具の大半はホームセンターやネットで揃えることができました。
材料の石については、ホームセンターや造園業者、石材屋さんなどで入手することができます。
私は当初造園業者さんに発注していましたが、コスパの良い石材屋さんを見つけそちらから購入することにしました。
また、必要となる材料の量を把握するために、簡単な物でもよいので設計図を作っておくと安心です。
詳しい道具や材料(石材)の説明・入手方法については、この後のシリーズでまとめていきます。
積み方

今回は空積みという方法で石を積んできます。
積み方にはいくつかのルールがありますが、そのルールに従って作業を進めていけば難しいことはありません。
ただ綺麗な石積みを作るためには経験が必要になります。
私も初めに積んだ場所と最後の場所とでは仕上がりの美しさに違いを感じています…。
それほど上達すると言うことですのでご心配なく。
積み方についても、この後のシリーズで詳しく説明していきます。
まとめ
今回は石積みの種類やメリット、工程について簡単に説明しました。
この後の章からは、それぞれの作業工程について詳しく解説をしながら紹介していきたいと思います。
- 【石積みDIY①】木曽石を積んで植栽が生きる庭をつくる[今回]
- 【石積みDIY②】石積みに必要な道具の準備
- 【石積みDIY③】木曽石が購入できる場所は?
- 【石積みDIY④】積み方(床堀り作業)
- 【石積みDIY⑤】積み方(空積み作業)
【役立つ1冊】石積みに関する書籍を紹介します
素人の私が石積みをゼロから始めるにあたり、大変参考にさせてもらった書籍があります。
それが、「誰でもできる石積み入門(真田純子 著)」。
入門編ということで初めての人が読んでも大変わかりやすく、言葉だけでは伝わりにくいイメージもイラストや写真が豊富に取り入れられているため理解しやすかったです。
動画やネット文献なども数多く探しましたが、作業の大部分はこの書籍からの情報がが大きかったので、これから石積みを始めたい方にはとてもおすすめな1冊だと思います。


