千葉県いすみ市で竹炭作りのワークショップに参加してきました!
水や空気の浄化作用、多孔質な形状を利用した水はけや土壌改良効果など、多方面でその価値が見出されている「炭」。
今回、縁あって千葉県内で炭製造をしている団体「NPO法人 いすみ竹炭研究会」さんの行なっている毎月の炭作りイベントに参加して実際に炭作りを体験してきましたので、そのようすを振り返ります。
いすみ市には「イイ炭」がありましたよ!!
いすみ市の「いすみ竹炭研究会」のイベントに参加!
今回、参加させていただいたのが、千葉県いすみ市を中心に活動をするNPO法人「いすみ竹炭研究会」の竹炭作りイベント。
現在日本各地で里山の竹林は荒廃が進み、「竹やぶ」のような自然循環としては良いとは言い難い状態の竹林が増えています。「いすみ竹炭研究会」ではこういった竹林を整備し、伐採で出た竹を燃やすことで竹炭という副産物を作り出しています。そしてこの竹炭は、多孔質な形質を生かし土壌改良や水質改善など様々な空間の再生に使われるというわけです。
我が家の庭は山を背負う土地柄、水はけが悪い。
どうにか土質を改良できないかと模索していました。
ネットや書籍をあさり、どうやら「炭を使うと土壌改良に効果的だ」ということで、近場で炭をまとめて購入できる先を探していたのですが、たまたま趣味の釣りで立ち寄ったいすみ市内のコンビニで「いすみ竹炭研究会」の炭の存在を知ったのがご縁のきっかけ。炭の発注を通して「いすみ竹炭研究会」の活動内容に魅力を感じてしまったので、今回はちょっとまとめ記事にしていました。
日本は古くから竹という素材に恵まれた自然豊かな国で、この竹を多方面で活用してきた文化がある一方、現在では竹に置き換わる大量生産でき低コストで技術力を伴わない簡易な素材が開発されたことによって竹の需要が消滅しようとしています。
身近にあるサステナブルな素材を今一度見直す良い機会になりましたよ!
竹炭の効果は多方面にたくさんあります
日本で一般的に作られる炭は大きく分けて木炭と竹炭に分けられます。
今回炭作りをしたのは、竹炭(ちくたん)。
木炭とはBBQなどでもよく見かける広葉樹などを炭化させたアレです。
木炭は通常の黒炭や1000度近いの高温で焼いた備長炭を代表される白炭などに大別されるようです。
そして今回炭作りをした竹炭は、竹を炭化させたものです。
では一体何が違うのかというと、まず木炭と竹炭の大きな違いは特徴は見た目の形状。
竹は中が空洞なので出来上がる炭も木炭と比べ薄くなります。
また、比較的繊維(細孔)が細かくより多孔質な炭が出来上がります。
このような特徴から、炭火として利用するには効率は劣るので、利用方法としては環境整備としての利用がメインになります。
より多孔質な素材となる竹炭は、微生物の住処としては最適なため、土壌改良や空間浄化の方面ではで非常に優良な材料となるようです。
竹炭の特徴
- 木炭と比べ肉薄なため、炭火としては効率が悪い
- 木炭と比べ多孔質な炭ができる
竹炭の効能
1. 土壌の環境を改善 (竹炭は微生物の住まい)
竹炭の構造が多孔質である為、糸状菌やバクテリアなどの有用微生物が棲みついて繁殖し、土中の有機物の分解を促して土の団粒化を進め、保水性や浸透性も向上します。2. 農作物への効果
畑に竹炭を入れると微生物の働きによって土が団粒化し、根の張りが良くなり、作物の生育を促します。さらに豊富なミネラルを含むミネラル肥料になるため、竹炭を撒いた土壌で作物を作れば、ミネラルを多く含んだ作物が採れ、体にも良い作用が生じます。3. 家畜への効果
竹炭を飼料や敷料に混ぜることで家畜の腸が活性化し、排泄物の臭いがなくなり、病気も防ぎます。4. 河川の浄化
炭の表面に微生物の膜(バイオフィルム)ができ浄化力を発揮します。5. 温暖化防止
竹を炭にすることで炭素が固定され二酸化炭素の排出を抑え、温暖化を防止します。6. その他
脱臭、調湿、空気清浄・・等々出典:いすみ竹炭研究会
いざ、竹炭作りが始まります!
私が現地に到着したときにはすでに竹を燃やす炉は組み上がっていました。
「いすみ竹炭研究会」で使用していた炉は移動式無煙炭化炉と呼ばれる組み立て式。
竹林再生活動は各地で行われる為、どこでも作業できるように板を組み合わせて作られているようです。
釜のような密室空間で炭を作るのかと思っていましたが、私の想像とは裏腹にとってもオープンな炉でした。これも竹炭作りの良いところで、一般的な木炭作りと違い専用の釜を作らなくても炭を作ることができるという点。
まずは火起こし。
細い竹の枝を集めそこに着火して種火に。
6箇所ほど分けて同様に火を起こしていきます。
こちらは事前に切り出して用意してあった今回の炭の材料となる竹。
部位や太さ、状態などの違いで分けて置いてありました。
続いて、種火の上に竹を乗せていきます。
先ほど仕分けしてあったのはこのためのようで、細くて燃えやすい竹から順に投入していっていました。
無造作に放り込んでいるように見えましたが、次第に中心に向かって立つような形でヤグラのように組み上がっていました。
火力が十分に上がったところで最後に残った太い竹を投入。
ものすごい炎が立ち上がり、パンパンと激しく音も鳴り響くようすは圧巻。
つい炎を見入ってしまいます。お陰で真冬の寒空の下での作業でしたが、お陰で風下に立つととても暖かかったですよ。
ここまで燃え上がると炉の付近はさすがに熱くてフェイスガード無しには近寄りがたかったです。
この日は「いすみ竹炭研究会」さんがファイスガードを用意してくれており、装着して火に近づくと先ほどまでの熱風は嘘のように消えていました。お陰で落ち着いて炉の様子を見ながら竹を投入することが可能に。ただ顔付近はガードされていますが、風向きによってはそれなりに熱風を浴びるので着衣の素材には要注意。
ナイロン系の素材はすぐに溶けてしまうので、綿など燃えにくい素材がベストのようです。
また手袋も豚皮など革手袋などであれば安心。この日、私は普段DIYで使っているパワー軍手を着用して行ってしまったのですが、気がつくと火の粉で溶けて穴が空いていました…。
ほぼほぼ燃えて炭が出来上がってきました。
この段階で炭の燃え残りを掘り上げて更に均等に焼き上げるようです。
長い竹の棒や生竹などでグイグイとテコの原理で掘り返す作業はかなり重労働。
炎をあげて燃えていた時とくらべ見た目的には熱くなさそうですが、じつは炭になって燃えている時の方が温度が高いそうです。
今は冬だから丁度良いけど、夏場は大変そうですね。
きれいに焼けました。
鎮火する前にアルミホイルを巻いたサツマイモの上に炭を乗せて焼き芋を作っていただきました。
炭焼きの焼き芋はホクホクで感動的な美味さ。
ねっとり甘いこの芋はシルクスイート?
あちゃぁ品種を聞いておけばよかった…。
綺麗に竹が焼けたので散水して鎮火。
煙が出ているところはまだ火種があるところなので、煙が消えるように十分な量の水をかけて回ります。
竹炭が出来上がりました!
そしてしっかりと消火された竹炭が出来上がりました。
鎮火されているのでもう手に取っても熱くありません。
まだ水気を含んでいるためかツヤツヤと輝いています。
なんだろう、この神々しさは…う、美しい。
昼食もご馳走になりました。
これがまた美味しい!
玄米もモチモチで噛めば噛むほど甘みがじゅわぁ〜。
レンコンってこんなに美味しかったのかぁ。
青空の下で食べるのですから、それは更に格別なわけで。
ごちそうさまでした。
出来上がった竹炭をいただきました
綺麗に焼け上がった竹炭。
ううむ、きれい。
使うのが勿体無い気すらしてきますが、ありがたく土壌改良に使わせていただきます。
我が家の庭は水はけが悪いので、水路となる溝を掘り炭や枝や落ち葉などの有機物を詰めて暗渠構造にしようと思っています。
ちなみにこれは千葉県千葉市にある高田造園さんの代表・高田宏臣さん著作「土中環境」を参考にした方法。
同じ千葉県内の酒蔵・寺田本家周辺の環境や代表同士の対談、古から伝えられてきた忘れられた環境整備技術など、DIYをする上でも非常に役にたつ目から鱗な一冊でした。
高田造園さんでは実際にいすみ竹炭研究会が作った竹炭を使って整備も行なっているようです。詳しくは書籍のほかスタッフブログ等でも紹介されているので、これから造園や畑の土壌改良などを検討している方は覗いてみると面白いですよ。